佐藤さんの非日常な日記

日常にありそうでない、体験…。

ブログノベル「サプライズ」

し!よく聞いて!

いい、俺があいつを呼び出すから、みんなは、俺の合図があるまで隠れてるんだ。

それで、俺とあいつが入ってきて、俺がハッピーバースデー!って言ってクラッカーを鳴らしたら、みんなも出てきて、ハッピーバースデー!で一斉にクラッカーを鳴らして盛り上げるんだ。

いいな?

じゃあ連れてくるからな。

 

 

こういうのってドキドキするよな。

 

うん、すげー緊張してきた!上手くいくかなー?

 

まあ、言ってもやることは単純だから、失敗はないでしょ。

 

でもさ、怒ったりしないかな?

 

怒るわけないだろー。こーゆーサプライズは喜ぶに決まってるよ!

 

だってさ、最近テレビとかでもよくやってるじゃん。サプライズ失敗とか。

 

いやいやいや、あーゆーサプライズとは、また違うじゃん。

よくあるサプライズの失敗ってさ、全く無関係な人まで巻き込んだりしてやるから失敗するんだよ。

だけど、俺たちは、みんな仲良い友達の集まりなんだから、大丈夫だって!

それに万が一失敗したってさ、怪我とかするような事じゃないんだから、それはそれで笑い話になるだろ。

 

いやいやいやいや、失敗したら、ジュンのやつめっちゃ凹むと思うけどなー。まあ、でも。大丈夫だよな。

 

そだよ!でもまさか…、サプライズしようとしてたジュンが逆にサプライズされるとは思わないだろうなー。

 

うん。ノリオも面白いこと考えたよな。サプライズを利用してジュンに告白しようなんて。

 

でも、よく好きになったよなー。

あんな男まさりな女。

 

それがよかったんだろ?あいつは。

 

うんうん。でさ、ちょっともう一回おさらいしていい?

ジュンが、ハッピーバースデーって言ってクラッカーを鳴らそうとするけど、あのクラッカーは鳴らない湿気ってるやつなんだよな?

 

うん。てかさ、俺たちのも全部湿気ってる。

 

え?そなの!?

 

だって、どれ選ぶか分かんないじゃん。だから俺たちの持ってるクラッカーも全部湿気ってる。

 

え?そしたら、俺たち、なんの合図で飛び出すの?ここからじゃ中の様子見えないじゃん。

クラッカーの『パーン!』って音が聞こえたら、出ていってサプライズ大成功!!おめでとう!!ってやるんだろ?

 

うん、だからノリオの持ってるクラッカーだけが唯一ちゃんと鳴るクラッカーなんだよ。

告白が成功したら、ノリオがクラッカーをパーンって鳴らすから、そしたら出ていっておめでとうー!!だな。

 

そうゆうことか!

 

よかったなー、おさらいしといて。

 

うん…。

あとさ、ジュンのやつ、クラッカー鳴らなかったら焦って泣いちゃわないかな?

 

お前ホントに何も分かってなかったんだな。

それでジュンが困ってるのを優しく慰めて、それでそのまま告白するんだろ。

上手い方法考えたもんだよ。

 

なるほどねー!

 

ガチャン!

 

おい!来たぞ!声は聞こえないけど、ドアの音が聞こえた。わざと勢いよく閉めたんだ。

 

さすが男まさりだな。

 

しーっ!じゃ、あとは、パーンって音が鳴るまで待機だ…。

 

 

ハッピーバースデー!

 

スカっ!!

 

あれ?鳴らないじゃん、何これ?湿気ってる!?

どうしよう。ヤバいじゃん、何これ、どーしよー…!!

 

ありがとう。俺の誕生日覚えててくれたんだな。

 

え?いや、これは、違うぜ!?俺だけじゃなくてみんなで考えたん…。

 

俺さ!お前のそーゆー女の子なのに、強がって見せたり、自分のこと俺とか言ったりするとこ、

好きなんだ。

 

え?

 

本当は凄い困ってたりしても、誰にも頼らないで自分だけでなんとかしようとする姿も女の子なのに、凄いな。強いなって思ってた…でも、これからはさ、俺が、その、ジュンのこと支えていくから、あの、俺には弱い姿を見見せてくれてもいいんだよ…、ってか…、

好きだ!!!!

付き合ってほしい!!!!

 

え?やだ。だって俺、女の子が好きだから。

 

え?ちょ、ちょっとジュン!!

 

おい!触んな!!

 

パーーーン!!!!ジュンの強烈な平手打ちがノリオの頬をはたいた。

 

おい!鳴ったぞ!!

 

上手くいったんだな!よし!いくぞ!!

 

「おめでとーーっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブログノベル「グローブ」

分からないだろうなー。

ボクシングのグローブは、素人からしたら、どれも大した差は無いように見えるかもしれない。

そりゃ、大きさの違いなら見れば分かるかもしれないが、全く同じサイズのグローブだったとしても、製造メーカーが変われば、その質も変わってくる。

例えば、有名な話でいうと、メキシコ製のグローブは、拳の部分の皮が薄く作られている。

その為、パンチをヒットさせると、拳の硬さがダイレクトに相手に伝わる為、相手に与えるダメージが、他の製造メーカーのグローブより大きい。

 

握りやすさや、締め付け具合も、自身で選んだ製造メーカーのグローブじゃないと嫌だ!って選手もいる。

その辺なら、まあまだ分かるが、

全く同じ製造メーカーのグローブだったとしても、カラーによって違いが出てくるというのだ。

それは、側から見たら全く分からない微々たる違いなのだが、こと試合に臨む選手にとっては大きい。

《グローブのカラーによる違いとは?》

ホワイトとブラックでは、ホワイトの方が膨張色である為、相手からはパンチが大きく、見えやすい。

逆にブラックは、締まって見える為、相手からは、パンチがコンパクトで見えにくい。

これは、極々微々たる違いでしかないのだが、

試合の規模や選手同士の力が大きくなれば、なるほど、僅かな差で勝敗が喫してしまうこともある為、より慎重になるのだ…。

 

 

まあ、そんなこんなでね、ジムの中をぐるっと見てもらえれば、お分かり頂けると思うが、うちでは全てのグローブをブラックに統一してあります。

普段の練習から常にブラックのグローブに慣らしておく事で、パンチが来た時の反射速度、動体視力を鍛えております。

 

なるほど…、確かにグローブはもちろんの事ながら全てのカラーをブラックに統一してるのは、世界でここだけではないでしょうか。

まさか、リングも真っ黒だなんて…。

極め付けは、彼だ。

 

ああ、あいつは、うちの今1番の選手です。

あ、勘違いしないでくださいね。

あいつは列記とした日本人です。

両親も完全純血の日本人。

 

え?じゃあ、あの肌の色は…、

 

焼かせました。

 

え!?

 

全身ね。

 

あそこに置いてあるマシーンはそれだったんですか。

 

ええ、うちは最新の日焼けマシーンを取り扱っています。

そして、プロを目指すやつらはみ〜〜んな焼かせてます。

 

本当に…、まるで黒人ですね。

 

それだけじゃありませんよ。歯も綺麗にしています。プロを目指すやつらはみ〜〜んなホワイトニングを施して笑うと歯だけ真っ白に光るんです。

それを試合中も見せる。例え、良いパンチを貰ってピンチに陥っても、笑うように練習でさせているんですよ。

 

徹底していますね。

そうすると、さぞ選手達も強者揃いということになりますね。

では、先ほどの選手の紹介をしていきたいと思います。

 

ブラックブラックジムの期待のホープ、「黒肌 黒人」さん!!

戦績の方は………、

 

 

0勝5敗、(5KO負け)  

 

 

………。

 

 

 

 

ブログノベル「ナシゴレン屋さん ~現場作業員の昼 その2~」

俺は、今日、生まれて初めて、ナシゴレン屋さんに来た。

 

「ナシゴレン」という名の料理が一体如何なるものなのか!?

その正体を突き止めるべく!って訳でもないが、たまたま偶然に、日曜日出勤の現場仕事の昼休憩で、名前の分からぬ同僚と一緒に店に入り、座った席には、先輩の大水さん(ラバーガール)が先に食してる中、隣の席には、L'Arc-en-Cielのhydeがいて、そんな只ならぬ空気の中、全くその空気をものともせず、遂に「ナシゴレン」の正体を掴んだ!

 

メニューを見てみると、3つのコースが書かれていた。

 

【ところてんのペペロンチーノコース】

・1品目「ところてんのペペロンチーノ」

・2品目「杏仁豆腐」

・3品目「ナンとカレー」

 

【ところてんの野菜炒めコース】

・1品目「ところてんの野菜炒め」

・2品目「杏仁豆腐」

・3品目「ナンとカレー」

 

【ところてん】コース

・1品目「ところてん黒蜜」

・2品目「杏仁豆腐」

・3品目「ナンとカレー」

 

 

3種類のコース料理の中から選択するのだが、

一品目以外は、全て一緒という仕組み。

 

そして、ナシゴレン??

ナシゴレンとは、ところてんの事なのか??

なんて疑問はつゆほども考えず、どれにしようかなーと迷っていると…。

 

大水「まー定番は、ところてんのペペロンチーノなのかなー?」

と、先輩の大水さん(ラバーガール)が言ってきた。

 

そして、店員さんも来て、

店員「ナンニスル?」

って言って来た。

 

「まあナンは3品目にある訳だから、嫌でもナンにはする訳だけども、どうしようかなー」

と悩んでいると同僚が、

 

同僚「ところてんのペペロンチーノを…、」

の所で俺に、良い?一緒ので?みたいなことを顔で合図を送ってきたので、コクリとうなずき、

同僚「2つ下さい」

となった。

 

そうこうしてると、1品目、2品目を食べ終えた、先輩の大水さん(ラバーガール)が席を立ち、

「3品目のカレーは、2階で食べられるから」

と、言って、2階に上がっていった。

 

2品目にデザート的な杏仁豆腐が来てからの、3品目のナンとカレーを別の場所で食べるとか、ナシゴレンって一体なんなんだ!

とは、思わなかった。

 

 

すると、

隣の席の方で何かモメ事が起きている。

 

!?

 

現場付近でモメ事起こしてた若いやつら!?

どうやらL'Arc-en-Cielのhydeに何やら絡んでるいるようだ。

『国に帰らなくていいのか!?』

『本当は王子さまなんだろ!?』

みたいな絡み方をしていて、

hydeって別の国の王子さまだったんだ〜と納得していると。

hydeがこっちに目くばせを送ってきた。

助けを求めている!?

俺は、hydeと絡んでる奴らの間に入った。

『護衛のやつがなんだってんだ!』

 

「王子はお疲れだから、もうお前ら帰れ!」

 

『じゃあ、ジャンケンしろ!』

『ジャンケンしろー!』

 

「しょうがないなー」

 

「最初はグー!ジャンケン、ほい!」

 

相手は両手をかめはめはの構えにして出した。

 

「きたないぞ!」

 

『へっへっへっへっ』

 

いや最早訳が分からない。

 

その時、

 

ハッと目が覚めた。

 

 

「なんだ…、

 

 

                           夢か。」

 

 

 

 

 

ブログノベル「昼休憩 ~現場作業員の昼 その1~」

今日は早朝4時からの早出。

梅雨の時期、じとじと蒸し暑く小雨の降る中の現場仕事はなかなかの苦行であった。

仕事はスムーズに進んでいたが、途中現場の入り口付近でモメ事があったようだ。

現場の足場から下を見下ろすと、若いチャラチャラした男が5〜6人で何かモメている。

現場の人間は関係なく、内輪もめだろう。

日曜日の早朝に繁華街の現場に来るとよくある出来事だ。

大体、ホストかキャバクラの、男や女がベロベロに酔っ払った状態でギャーギャー騒いでいる。

その場に座り込んだり、タバコをふかしている。

もし、現場の人間ともめているのだったら、スマホを取り出し、動画で撮影しながら、混ざろうと考えていたが、何も起きなかった。

 

仕事の昼休憩で「ナシゴレン屋さん」に入った。

「ナシゴレン」というものを俺は食べたことがなかった。なんだか名前からして洒落てる感じで、なんだか食べる気にならなかったから…、というか、男で「ナシゴレンの店行こうぜ!」なんて言うやつが存在するのかの方が気掛かりだ。

そもそも、ナシゴレンがどのジャンルになるのかも分からない。

和食? な訳ない。

中華? 違う気がする。

洋食? あり得る。

イタリアン? ちょっと違うかなー。

フレンチ? あり得る。

全くの謎だ。

とは言いながらも、なんとなく察しはついている。

確か、ハンバーグの上になんか色々乗っかってるようなやつだろう。

何故、そんな普段食べない得体の知れない食べ物を、日曜日の現場仕事の昼休憩に食べに行くことになったのかというと、

 

分からない…。

 

なんでだっけ?

 

まあいい、なにわともあれ、店に入った。

 

店の雰囲気はアジアンテイストとういうのか、そんな雰囲気。

席に座ると、先輩の大水さんがもう先に食べていた。

大水さんとは、お笑い芸人「ラバーガール」の大水さんだ。

大水さんがいつから先輩だったのかは思い出せない。

向こうの席には、L'Arc-en-Cielのhydeもいる。何かの撮影スタッフと打ち合わせ中のようだ。

まあ、どうだろうか、普通に考えたら、hydeの前では、ラバーガールの大水さんも霞むが、そもそもhydeがいるからといって取り立てて騒ぐ程のことはない。ごくごく当たり前のことだ。

なんでかな。

普通に、日常的な感覚だ。

ラバーガールの大水さんが、先輩にいることも。

L'Arc-en-Cielのhydeが隣の席で打ち合わせしてることも。

一度も食べたことのない「ナシゴレン」を食べに、仕事の同僚とお店にくることも。

至って日常的な出来事だ。

一緒に来た同僚というのは…、

 

あれ?

 

誰だっけ?

 

なんだか印象が薄いような感覚で、

同僚の名前が思い出せない。

 

まあ、でもどうでもいいか、そんなこと。

 

同僚の名前がなんだろうが、別にどうでもいいことだ。

 

それよりも、「ナシゴレン」だ!

そもそもよく分かってないから、先ずはメニューを見よう!

そうすれば、「ナシゴレン」の正体がつかめる!

 

よし!

 

見るぞ!!

 

続く…。

 

 

 

ブログノベル「美術展」

呪いの名画

「現在、某博物館において、展示されている作品の中にひとつ、

長時間見てると絵に魂を抜かれてしまう、不思議な作品がある。
今回は、その都市伝説とも言える作品の実態に迫ります。」
 
「監督ー、こんな感じでいいですかねー?」
 
「おう、良い出来じゃねーか。あとはちょっとそれっぽい雰囲気のある絵でも用意して、放送のラスト5分位まで引っ張って、最後に公開しながら終了すれば視聴率も取れるだろう」
 
「でも監督ー、こういうのって、おはらいとかやった方が良いですよねー?
なんでもない絵だったとしても、そういう事で使うと良くないって聞いたことありますよー」
 
「そんなこと信じてんのか!?だったら、俺が絵を描いてやるよ!それなら、俺がどう使おうが、勝手だろ」
 
「はあー、それなら大丈夫そうですねー。でも監督、もう放送まであんまり日にちもないですけど、絵なんて描けるんですかー?」
 
「俺は芸大出てんだぞー!絵なんてぱぱーっと描いて明日持ってきてやるよ!」
 
 
次の日
 
「凄い!!これですか!?監督の描いた描って!!」
 
「ああ、ぱぱーっと仕上げたやつだけど、まあまあの出来だろ?」
 
「まあまあってか、凄いじゃないですか!普通に芸術作品っぽいです!何処と無くモナリザみたいな雰囲気もあるし、これは使えますね!」
 
「タイトルは、そうだなー『願い』ってのは、どうだ?」
 
「『願い』って、何か願い事でも込めたんですかー?」
 
「あー、そりゃま、視聴率上がりますように!ってな」
 
「そーですね!じゃ、この『願い』つてタイトルの絵を見ると魂を抜かれてしまう。って設定で進めていきますね!」
 
「ああ、放送楽しみにしてるぞ!」
 
放送後
 
「監督ー!大成功でしたよー!何より、あの絵の評判が凄いです!実際に観に行きたいって人も多くて、一体誰の展示会なのか、詳細を知りたがる問い合わせが殺到してます!」
 
「そうか…、」
 
「あれ?監督?どうしたんですか?
泣いてるんですか?」
 
「あ、いや、嬉しくてな…」
 
「確かに、視聴率も取れたし、監督が直々に描いた絵が大絶賛された訳ですからね!」
 
「あの絵はな、俺が学生の頃に必死になって描いた大作だったんだよ。」
 
「え?」
 
「それを、当時の美術の先コーは、
なにも伝わって来ん!こんなものはただの落書きだ!やめちまえ!って、全く認めて貰えなかったんだ。それで結局、絵の道を目指すのは辞めて、こっちの世界に入ったんだよ。まあでも、あの絵だけは、毎日徹夜で没頭して描いた絵だったから、捨てるに捨てられなくてな、それで、今回の放送の話が来た時に、ひょっとしたら使えるかも、って思ったんだ。」
 
「じゃあ、元々あの絵を出すつもりだったんですか」
 
「ああ、お前がああ言わなくても俺の方から何かしら理由つけて出すつもりだった。」
 
「まあ、なんにしろ、良かったですね!美術の先生には認められなくとも、何万人の人の心には響いた訳ですから!」
 
「ああ、見た人の魂を引き抜く、絵になったかな…」
 
 
 
 
 

ブログノベル「突破 ~ある男の冒険 その2~」

僕は、レンタルショップのアダルトコーナーに入る!!

 

その為に、数ヶ月間、入念な調査をして、遂に安全にアダルトコーナーに入る日程を割り出した。

それが今日!!

 

の、筈だった。

 

不意に現れた2人のヤンキーギャルによって、

僕のすべての計算を狂わされた。

このまま、夢ついえるのか…。

 

いやだ!

 

僕はなんとしても、アダルトコーナーに入るんだ!

 

落ち着け!

急なハプニングで取り乱したが、冷静に考えれば簡単な事だった。

「心はホット、頭はクールに」だ!

待てばいいんだ。

ヤンキーギャルが帰るまで、もしくは、あのコーナーから移動するまでの少しの間、新作コーナーにでも入り浸って、待てばいい。

ただそれだけのことだったのだ。

 

ふぅ、時間も15時までは、それほど人も増えまい。まだ余裕は全然ある。

ゆっくり待とう。

 

…。

 

…。

 

…。

 

な、

 

なんなんだ…、

 

あのYG(ヤンキーギャル)は!?

 

かれこれ40分以上、プロレスコーナーを吟味している。

一体何を探ってるというんだ?

そういえば、さっきからずっと、スマホを見ながら何か喋ってるな。

ちょっとプロレスコーナー隣にある、お笑いコーナーを見に行くフリをして、様子を覗いて来よう。

 

『わー!コインありがとう!このまま次枠もいっちゃおうかなー』

 

!?

ま、まさか、あれは、

スマートフォンカメラを使って、現在の自分たちの状況を生放送LIVE配信する、ツイキャス!?

 

なんてこった!!

1番エゲツないことをしていた。

 

ツイキャスは1放送が30分までと決まってはいるが、閲覧者からコインを5つ貰うことで、最大180分まで延長出来る。

と、言うことは、下手したら15時まであの付近にいることも考えられる!

それだけじゃない。

あんなLIVE配信中にアダルトコーナーに入っていく人間を見つけたら、ネタにされるのが目に見えている。

 

終わった…。

 

数ヶ月を費やした調査も、全くの無駄におわ…、

 

いや待て!あれは!?

 

AP!?

アダルトプロレスのおっさん!

 

(APとは、アダルトプロレスの略称。アダルトコーナーとプロレスコーナーを頻繁に出入りするという、ただそれだけだ。)

 

そうだ、この時間帯はAPの時間帯でもある。

APが来ればなんとかなるかもしれない!

作戦は2通りある。

1. jkの的がAPになり、jkがAPに夢中になってる隙に、アダルトコーナーに潜入する。

2. APの雰囲気に押され、jkが帰る。

 

プラン2.になれば1番好都合だが、そう都合良くはいかないだろう。

だからここは、APが囮になってくれてる間に突破する!

 

さあ!どうする!YGよ!

 

「はー飽きた!帰ろー」

 

な、なんと!

やった!!

作戦とは違ったが、邪魔者は去った!これで

夢のアダルトコーナーに入れる…!?

 

トントン

肩を叩かれた。

 

店長!?

 

店長「小学生はここは入れないよ」

 

 

 

 

ブログノベル「完璧な作戦 ~ある男の冒険 その1~」

ふぅ。

 

時刻は正午1時。近くの会社のサラリーマン達の休憩時間も終わった頃だろう。

この時間が計画を実行するのに1番都合の良い時間だ。

早すぎてもダメ。遅過ぎてもダメ。

この時間だ。この時間がベスト オブ ベスト。

人の出入りが1番少ない。それに伴い、セキュリティーも甘くなる。

セキュリティーというか、人員が減る。

月曜日のこの時間は、人員がいない。

甘そうなおっさん1人になる。

事前に毎日、バラバラの時間に何度も調査し、見つけた唯一のチャンスだ。

今日…

 

俺は…

 

ゲートをくぐる!

 

禁断の門を通り抜ける!

 

いざ、大人の世界へ!

 

やってきたのは、

DVDレンタルショップ。

目指す先は、

アダルトコーナーだ。

 

平日月曜日の昼過ぎが1番、利用する人間が少ない。尚且つ、店員もしわがれたおっちゃん1人。

 

今日こそ禁断のアダルトDVDを借りるのだ!

 

意気揚々と真っ直ぐアダルトコーナーに向かった。

と、そこで、事態は急変した。

 

jkだ…。

 

(jkとは、女子高生の略で、アダルトコーナーに入るまでの最も危険な障害である。)

 

何故だ!?

この時間に高校生が現れる筈は絶対にない!

だが現実に、そこにjkがいる!

 

くっ!どうして?

 

はっ!!?

 

あれは!?

 

2016年、最早存在しないものと思われていた、あれは、ルーズソックス!?

 

し、しかも!!金髪パッキン!!!??

 

と、言うことは、jkの中でも1番危険な存在。

S級の危険指定生物ともされる。

 

「ヤンキーギャル!?」

 

そうか、奴ら、俗にいう、サボり と言うやつか。

 

不味いことになった。

 

あんなのに入る所を見つかったら、有る事無い事散々噂される!それだけでは、済まない!

今時、Twitter、LINE、facebook、あらゆるSNSで拡散され、下手したら、「キモい男がアダルトコーナーに入っていく姿を激写!」みたいなタイトルでYouTubeにアップロードされるかもしれない。

 

奴らがいるコーナーは、アダルトコーナーのすぐそばの…、

 

プ!!    

プロレスコーナーだと!!?

 

くっ、ヤンキーギャルがプロレスを見るなんて、聞いてないぞ!

 

これまでの計算では、唯一、この時間帯でアダルトコーナー付近に現れる可能性のある人間は、プロレス好きの、いい歳したおっさん!

 

仮にアダルトコーナーに入る姿を見られた所でなんのことはない。

 

完全に計算が狂った!

 

このまま、諦めるのか!?

 

しかし、そうすると、また1週間先になってしまう。

いや、たかだか、1週間だ。

ここで、一生モノのダメージを負う位なら、

1週間我慢した方が…、

 

いやダメだ!!

 

来週から、夏休みに入る!!

だからこその今日だったのだ!!

今日を逃したら、1ヶ月は、チャンスは来ない。

 

今日しかない…。

 

今日突破するんだ!!

 

 

つづく。