佐藤さんの非日常な日記

日常にありそうでない、体験…。

ブログノベル「絶対音感」

視力がめっちゃ良い人間と聴力がめっちゃ良い人間が戦ったらどっちが勝つだろうね。

 
戦うってなんだよ?どうやって戦うっていうんだよ。殴り合い?武器の使用あり?よーいはじめ!ってスタートするのか、隙をみてどちらからでも仕掛けていいのか。ルールは?勝敗はどうやって決める?勝負の方法によっては、それぞれの特徴が全く発揮できないこともあるもんね?それに、そもそも武器無しで、レディー、ファイ!でスタートするなら、視力が良かろうが聴力がよかろうが関係なくない?単純に腕力、スピード、格闘技術の優れた方が勝つよ。その辺は、どうなの…
 
勝負の方法は喧嘩。ルールはないよ。
 
はあー??
だったらもう今言った通りじゃん!聴力も視力も関係ない。シンプルに喧嘩の強い方が勝つに決まってるだろ?って、そういうことか。これはなぞなぞみたいなものなんだな。本来、ルール無用の喧嘩で視力や聴力なんて関係ないけど、それでもどちらが勝つかを当てなくてはならない。しかも、その理由も視力か聴力を関係させて答えなくてはならない。そんなとこだろう?
よーし、分かった。じゃあ、解いてやる。
簡単だ。ルール無用の喧嘩って所が逆にヒントになってる訳だ。
例えば、その喧嘩の場所が真っ暗な場所だった場合、視力がいくら良くても見えないから、聴力の良い方が勝つ。しかし、場所がLIVEハウスのようなごちゃごちしてて、人も多く、音もうるさい場所では、いくら聴力が良くても逆に色々な音を聴き取り過ぎて不利になるってことだろ…。
いや、待てよ。聴力がめっちゃ良いってことは、単純に小さい音でも良く聴こえる。ってだけじゃないのかもな。騒がしい場所でもどんな音でも感知出来る程の聴力を持っていた場合、騒がしい会場の中で相手の動く音だけを見分ける事が出来て、攻撃を避けたり、隙をついて攻撃を出来るってことか。
よし、分かったぞ!
答えは…、聴力がめっちゃ良い方が勝つ!だ!
 
 
「でもどうする?もしさっきの場所まで行って、特に何も出てこなかったら。」
 
「その時はそれでいいじゃん。何事もないのが一番良いよ。逆に今は俺はそう思ってる。俺たち2人とも見間違えてた。人間の頭部が転がってるように見えたのは、ただの錯覚だったって。
それで、もっと鍛え直さないとなーって喋りながら帰るのもわるくないってさ。」
 
「そうだよな。最近、電車から見える景色も全て見飽きてたもんな。また鍛え直すのもわるくない」
 
「そーそー、まーだから何も無いのが一番良いんだよ…」
 
「!?」
 
「なんだあいつ?」
 
「もう夕方だってのにサングラスして、怪し過ぎるな。」
 
「しかもあいつ、あえてあの道を塞ぐように立ってるな」
 
「そこのお2人さん!ここは立ち入り禁止なんですよー!ちょっと他から回ってもらえますかー?」
 
「立ち入り禁止の看板なんて見えなかったけど?」
 
「ええ、看板は無いんですけど、立ち入り禁止なんですよ。すみませんねー」
 
「おい、やっぱりこりゃ只事じゃないぜ?帰ろう。これ以上突っ込むとヤバそうだ」
 
「でもまだ確かめてないだろ?」
 
「いやもう、あんな変なのがいるって時点で、俺たちが見たのは本物だったってことだろ?」
 
「いやわかんないじゃん。変なのがいるのと、俺たちが見たものが本物だったのかどうかという事は話が別だ。」
 
「お前ら見ちゃったんだ…。あれ」
 
「!?」「!?」
 
「じゃ今度は、逆にここを通ってもらわなきゃいけなくなりましたね」
 
「おい、俺たちの今のボソボソ声が聴こえるなんて、相当な聴能力もってるぞ」
 
「そっちは視力でこっちは聴力!さあ、始めましょうー」
 
 
 
続く