ブログノベル「喧嘩」
喧嘩は先手必勝!
これは、僕が通ってたボクシングジムの先輩の言葉だ。
暴走族上がりで、喧嘩っ早くて、コテコテのヤンキーで、日本と東洋太平洋のチャンピオンまで登りつめた、尊敬する先輩だ。
確かにその通りだと思った。
いい歳までいって、リアルな世界でガチの殴り合いの喧嘩をしようとすると、意外と難しいもんだ。
何故なら、大人との喧嘩の場合、そこだけで決着がつかないのもある。
そこで、勝ったからといって話が済めばいいが、そうならないのが常だ。
それに、大人ってのは、口だけは達者だ。
大体喧嘩とはいっても口喧嘩で終わる事が多い。
ガチで手を出す喧嘩の場合は、先に手を出したもん勝ちだ。
これまでに殴り合いの喧嘩を何回もした事があったり、顔面に攻撃ありの格闘技をやってたりしない限り、大体の人間は一発顔面をぶん殴っちまえば、ひるむ。まあでも、怒りの度合いと喧嘩の内容にもよるが。
喧嘩は先手必勝!の理由はそれだけではない。
お互いにそれなりに経験のある人間同士だった場合、先に攻撃をヒットさせれば、よっぽど相手が打たれ強いか、攻撃が弱くない限りは、そのまま決着をつけることも出来る。
何にせよ有利になるのは間違いない。
それは、如何なる戦闘においても言える事だと思う。
「さあー!!始めよう!!バトルだ!バトルだ!!どっちからでもいい!いや、2人同時でも構わないぞー!!」
「おい、あいつやる気まんまんだけど、どうする?」
「なかなか自信があるんだろ?2人相手に1人で怯みもしないどころか、逆にテンションが上がってる。まあ2人相手だから逆に虚勢を張ってるとも見えるが」
「喧嘩はお前専門だろ?任せたぞ」
「はいはい…」
シュッ!!
サッ!!
ザザッ!!!
「ジャブ!?お前ボクシングやってんの?あっぶな!いくら音で攻撃する瞬間が分かっても、あらゆる格闘技で最速の攻撃方法「ジャブ」は危なかった」
「打つ前にそれだけ距離取られたら流石に当たんねーよ」
「いやどっちも速ぇぇーー!!ほぼ同時にしか見えなかった!ってか、音で攻撃の瞬間分かるって、なんだそれ!?」
「俺はそれこそ相手の心臓の音まで聴くことが出来る。相手の心音が分かれば、それこそ、感情や精神状態まで分かる。」
「なるほどな。それは厄介だな」
「超聴力対超視力か、どっちが勝つかなー」
「お前らなかなか目は良さそうだけど、それが何?こんな物も避けれたりするの?」
「!?」「拳銃!?」
「いくら弾の軌道が見えてたとしても、体がついてかなきゃ意味がないよなー」
パーーーン!!!!!
ビシッっ!!
「!?嘘だろ…」
「いってっ!」
「お前、これまでにも撃たれたことあるのか?そうじゃなきゃそんなことできない。」
「よくやってるよなー?お互いに撃ち合ってな!」
「弾をデコピンで弾くなんて…。」
続く