佐藤さんの非日常な日記

日常にありそうでない、体験…。

ブログノベル「味覚」

美味いっっっ!!

 
どこが美味いんだよー!
にっが!!苦いよ!!
このコーヒー。
 
それはー、まだまだ君がねー、お・子・ちゃ・ま・ということだよ。
コーヒーを飲めるようになるのは、君がもう少〜し、オトナになってからだね。
 
出たよ。大人になったら美味しくなるとかいう、ごまかし。
 
うん?
 
舌ってのはさ、子供の頃の方がよっぽど敏感に味が分かるもんなんだよ。
そして、大人になればなるほど、衰えていき、味が分からなくなるんだ!だからね、今年でもう40歳を過ぎるマスターが、そのコーヒーを美味しいと感じるのも、舌が衰えて、正確な苦味や味が分からなくなってるからなんだよ!
つまり、僕が不味いと感じるってことは、それだけそのコーヒーが苦くて美味しくないってことなんだ。
どう?僕の論理!当たってるでしょ?
 
う〜ん、どう?って言われてもね〜。
じゃあ、このカフェラテは?これは絶対美味しい筈だーよ!
 
だ〜か〜ら〜、カフェラテにしたって、一緒だよ。そりゃあさ、コーヒーにミルクを入れて、多少飲みやすくはなってると思うけど、所詮は、コーヒーでしょ?美味しくないに決まってるよ。
 
まあまあまあまあ、先ずは、飲んでみなさいよ。
 
うぇー、まあ、じゃ、一口だけ…。
ゴク、ゴク、ゴク、ゴク…、飲める…。
悪くない、いや、美味しいかな。
 
だ〜ろー!
これはただのカフェラテじゃないのさ。
 
っていうと?
 
さっきのコーヒーにココアをブレンドして、
ミルクで割ったのさ、だから、殆どココアの味しかしなかったろ?
 
うん、ココアだった。
カフェラテなんて飲んだことなかったから、ココアみたいな飲み物なんだなーって思ったよ。
そしたらそういうことだったんだね。
 
そういうことさ。つまりは、君だって味についてよく分かってない訳だ。
甘〜くなってれば、飲めちゃうって事だ。
 
いや、それを言うなら、ココアは、美味しいんだよ。そしてコーヒーは、やっぱり苦くて不味い。
 
強情なボーイだなー、それなら最後にこれを出そう。
 
こ、これって…。
 
そ!チョコレート
ほら、食べてみて!あ〜ん。
 
もー、自分で食べれるよ〜。
もぐもぐ…、
!?
にっが!!
苦いよー、なにこれ?本当にチョコ?
 
ああ、混ざりっ気一切なしの正真正銘本物のチョコレート、
カカオ100%のね!
 
え?ということは…。
 
うん、砂糖は一切入ってない。
やっぱり君は甘ければ良いってことになるねー。
 
うう、じゃあ、分かったよ。確かに甘い物が美味しい、これは認める!でも、苦いものは不味い!これは、歳を取ると味覚が麻痺してきて、苦味が薄れてくるから、歳を取った人は苦いものでも美味しいって言うんだよ!
 
まあねー、そうなのかも知れないけどねー、
さっきから僕より若いみたいな言い方してるから、付き合って合わせてあげてたけど、、
おじいちゃんももう良い歳だよ〜。